シルクは人間の皮膚と同じタンパク質(18種類のアミノ酸)から構成されています。
第二の肌と言われ、真珠のように美しい光沢、軽くてなめらかな肌触りがあり、人間の肌ととても相性が良い素材です。
天然繊維のため、化繊と違って静電気を起しにくくビリっと来ない上に、チリやホコリを寄せ付けません。外出時には、紫外線も吸収してくれます。
ただ、とっても繊細な素材なので摩擦に弱く、ひっかき傷がつきやすいです。
シワにもなりやすく、アイロンかけにも神経を使います。
洗濯が少し面倒で、洗濯も普通に洗濯機で洗う事が出来ません。
手で押し洗いをし、干す時は、陰干しをして下さい。
紫外線から、素肌を守ってくれる反面、シルク自体が紫外線を吸収する為、長時間、直射日光に当てたり、日光干しをすると黄色く変色してしまいます。
人間の肌に一番ちかいと言われる素材である分、それだけに繊細で扱いが面倒な部分もある。それって、わたしたちのこころや身体、自分の性格なんてのも一緒なのではないでしょうか。
シルクを手で洗うとき、自分のことを優しく洗う気持ちになり、
素材にも自分にもいたわりを持てる瞬間と出会うのだと思います。
素材は普通のコットンだったり、リネンだったり、ウール混だったり…
一見するとどこにでもありそうな布にすぎません。
ですが、普通の量産生地とは違った本来の釜入れ技術を取り入れたのが
この東炊きという生地なのです。
通常の10分の1という単位でしか生産ができない東炊きですが、大量生産が
はじまった明治以降の染め方ではなく、本来の素材感をそのままにかもしだす
江戸時代の手法を再現しました。
染めの釜が小さいため、機会を回している最中に生地と生地が当たりあって、
一期一会の出会いをするのです。
その出会いが様々な生産上の弱みさえも生み出します。風合いが柔らかすぎるため、
まず裁断に苦労します。まっすぐ切ろうなんて、素人じゃ無理です。
次に、縫製に苦労します。これも生地の柔らかさや、なめらかさによる弊害です。
ほんらい愛おしいはずの素質が、他の面では様々な問題点となりうるところなんか、
ほら、こう、わたしたちが個々に持つ「生きづらさ」と似ている気がしませんか。
そういう意味で、人の性質や有様とほどよく似た生地を身にまとい抱きしめることは、自分自身を抱きしめることとちかい気もするのです。
長く使うえば使うほど手に馴染み、どんどん風合いが増していく素材。
ずっしりとした重みと柔らかいフォルムが存在感を際立たせています。
使う人の肌や、その人の持つ空気感に合わせて素材の色や雰囲気を変えてくれる素材でもあり、あたたかみのある素材です。
ただ、やっぱり「酸化」していきますのでシミが出来たり、黒ずんだりします。
きちんとお手入れすれば購入時のままでいられるのですが、
時とともに自分と同じく変化し、朽ちていく様に美しさを感じませんか。
例えそれが「老い」の象徴であろうと、
真鍮とともに在ればそれさえも自分の豊かさだと受け入れられるような気がするのです。
プラスチックやステンレス素材ではかもし出せない豊潤な味わいがある無垢素材。いつの時代も、人々は木の自然な木目に惹かれ、その素材のあざやかに変化していく様子に魅了されているのでしょう。
「無垢」という言葉は「垢(あか)がない」という意味です。つまり、全くまじりけのない、そのままのものという意味も持ち合わせています。
長所はもちろん、風合い。そして混じりけのない素材ですから、長持ちし、修復も可能です。きちんと手入れをすれば、年月とともに無垢素材の魅力は増していきます。
逆に短所と言えば、ちょっと重いこと、価格が高いこと、たくさんつくれないこと…。そんな欠点さえ、どうして無垢材を眺めていると、どうでも良い気持ちになっちゃうのでしょうか。
無垢な素材とともに暮らしの中で変化する自分もまた、いいもんだな、と思わせてくれるあたたかみが、そばにあるといいと思いませんか。